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ウェザーニューズ、今夏のゲリラ雷雨の発生回数と特徴を発表

2023年のゲリラ雷雨は全国で9.3万回以上発生、昨年比約20%増

〜記録的な猛暑と残暑で発生回数が増加、群馬県はヒョウ被害で出費額1位〜

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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、2023年夏のゲリラ雷雨(注1)の発生回数と、「ゲリラ雷雨まとめ調査」の結果を発表します。

<ポイント>
1. ゲリラ雷雨の発生回数は全国で合計93,590回、昨年比約20%増
2. 発生ピークは8月下旬と9月中旬 記録的な猛暑と残暑、湿った空気の影響で発生回数が増加
3. 全国の4人に3人がゲリラ雷雨に遭遇、群馬県はヒョウ被害で出費額1位

▼ゲリラ雷雨まとめ調査2023
https://weathernews.jp/s/topics/202310/230115/

 

【1】 今夏のゲリラ雷雨の発生回数と特徴

発生回数:全国で合計93,590回発生

今年の夏(7月1日〜9月30日)の全国のゲリラ雷雨の発生回数(注2)は合計93,590回で、昨年(75,680回)の約1.2倍でした。都道府県別の回数を昨年と比べて見てみると、西日本と東日本は昨年並から多いところが多く、北日本は昨年より多くなりました。
北日本では昨年、9月になると高気圧に覆われてゲリラ雷雨の発生が減少しましたが、今年は9月も低気圧や前線の影響を受けて大気の状態が不安定となり、ゲリラ雷雨が断続的に発生したことで、発生回数の増加に繋がったと考えられます。
ゲリラ雷雨の発生回数が最も多かった都道府県は北海道の10,665回、次いで沖縄県の5,154回となりました。今年の東京は1,104回で、1,027回発生した昨年に比べると約1.1倍の発生回数でした。

 

発生時期:8月下旬と9月中旬にピーク

月別に見ると、全国のゲリラ雷雨の発生回数は、7月27,295回、8月39,686回、9月26,609回となりました。
ゲリラ雷雨が一番多かったのは8月下旬、次に9月中旬で、それぞれ昨年の同時期と比べると2倍以上の発生回数となりました。エリア別で見ると、北日本は8月下旬と9月中旬、東日本は8月上旬と下旬、西日本は8月下旬が発生回数のピークとなりました。

 

発生要因:記録的な猛暑と残暑、湿った空気の影響で多く発生

今年のゲリラ雷雨の発生回数は、7月は昨年と同程度でしたが、8月と9月は昨年比で多くなり、特に8月下旬と9月中旬は昨年比2倍の発生回数となりました。
8月の発生回数が昨年よりも多くなった要因としては、太平洋高気圧に覆われて晴れたため「日中の地上気温の上昇」の影響を受けやすかったこと、さらに高気圧縁辺の「暖かく湿った空気」の影響を受けやすかったことが挙げられます。特にこの夏は記録的な猛暑となり、平年に比べて地上気温が高くなりました。また、台風による湿った空気の影響もありました。地上気温の上昇と暖かく湿った空気の影響によって大気の状態が不安定となり、ゲリラ雷雨が発生しやすい環境となりました。9月になっても引き続き高気圧に覆われて晴れる日が多く、全国的に厳しい残暑となったことで大気の状態が不安定な日が多くなり、高気圧縁辺の暖かく湿った空気の影響でゲリラ雷雨の発生回数が増えました。
7月は、上旬から中旬にかけてゲリラ雷雨の発生回数が昨年並か昨年をやや下回りましたが、下旬は昨年を上回りました。上旬から中旬は梅雨前線や前線に向かって流れる湿った空気の影響で曇りや雨の日が多くなったためゲリラ雷雨の発生はあまり増えず、下旬は太平洋高気圧の勢力が強まり、晴れて地上気温が上昇する日が増えたことでゲリラ雷雨の発生が増えました。
7月に発表した「ゲリラ雷雨2023」では、発生回数は全国でおよそ57,000回、ピークは8月中旬〜9月上旬と予想していましたが、記録的な猛暑や残暑、さらに8月下旬から9月中旬は暖かく湿った空気の影響を受けやすくなったため、当初の予想より増加したと考えられます。

 

参考資料 :全国的なゲリラ雷雨多発日・影響の大きかった事例

日付
発生回数
要因
備考
7月12日
2,408
梅雨前線
暖湿気の流入
近畿〜東海で雨雲が発達。降雹や冠水のリポートあり。名古屋市では最大瞬間風速35.4m/sを観測。
7月26日
1,054
地上昇温
上空(300hPa)の寒気
山沿いを中心に雨雲が発生。平野でも雨雲が発生した。10分10〜20mm前後の短時間強雨(翌27日も同様)。
7月31日
1,347
地上昇温
暖湿気の流入(台風由来)
山沿いを中心に雨雲が発生。発雷も検知し、10分10〜20mm前後の降水。群馬県で5cm大の降雹もあった。
8月1日
1,266
地上昇温
上空(300hPa)の寒気
東日本を中心に大気の状態が不安定。都心でもゲリラ雷雨が発生し、強雨や雷雨、降雹があった。
8月22日
1,180
暖湿気の流入(高気圧、熱低由来)
地上昇温
太平洋側を中心に大気の状態が不安定。雨雲の発生、発達により10分10〜15mm前後の強雨。西武池袋線では落雷により停電が発生し、一時運転見合わせ。
8月26日
2,015
暖湿気の流入(高気圧由来)
地上昇温
上空(300hPa)の寒気
山沿いを中心にゲリラ雷雨が発生し、長野県飯田市では10分25mmの非常に激しい雨。また、北日本では雹を伴う激しい雨となり、秋田県では解析で時間110mmの記録雨となった。
9月11日
1,301
上空(300hPa)の寒気
暖湿気の流入(高気圧由来)
東海以西を中心に大気の状態が不安定。愛知県豊橋市では時間74.5mmの非常に激しい雨となった。
9月15日
672
秋雨前線
暖湿気の流入
降水の主要因は前線だが、前線に向かって暖湿気が流れ込み局地的にも雨雲が発達。局地的に時間50mmの降水や降雹があった。
9月20日
1,400
秋雨前線
暖湿気の流入
降水の主要因は秋雨前線だが、前線に向かって暖湿気が流れ込み局地的にも雨雲が発達した。関東でもゲリラ雷雨が発生し断続的に激しい雨が降った。
 
注1 「ゲリラ雷雨」について
本プレスリリースでは、「局地的大雨」を指す言葉として「ゲリラ雷雨」という言葉を使用しています。一般あるいはメディアでよく使用されている「ゲリラ豪雨」と同義です。

注2 「ゲリラ雷雨」発生回数の求め方
「ゲリラ雷雨」をもたらす雨雲・雷雲は“突発的”かつ“局地的”に発達するのが特徴で、予測が難しいとされてきました。また、限られた数しか設置されていないアメダス(全国約1,300か所)では、全ての降雨を正確に観測することは困難です。そこで当社では、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた“ザーザー”以上の降雨報告(注3)と、その時の気象データの分析結果から、ユーザーがゲリラ雷雨と感じる雨の時間変化の基準値(表1)を求め、求めた基準値をもとに10km四方でゲリラ雷雨をカウントしています。
表1:「ゲリラ雷雨」判定基準
時間(分前)
閾値
0
11mm/h以上
10
14mm/h以下
20
3mm/h以下
30〜40
1mm/h以下
50〜120
0mm/h以下

注3 降雨報告について
スマホアプリ「ウェザーニュース」を通し、“ポツポツ”、“パラパラ”、“サー”、“ザーザー”、“ゴォー”の5段階で報告されます。

 

【2】 2023年「ゲリラ雷雨まとめ調査」結果

927日~109日にスマホアプリ「ウェザーニュース」を通じて、2023年のゲリラ雷雨を振り返る質問をし、全国91,778人の方々から回答をいただきました。

4人に3人以上がゲリラ雷雨に遭遇

「この夏、ゲリラ雷雨に遭遇した?(屋内で降られた場合も含む)」と質問したところ、「遭遇した」と回答した方は75.7%と、昨年(57.6%)よりも大幅に増加し、4人に3人以上の方がゲリラ雷雨に遭遇した結果になりました。遭遇率が最も高くなったのは、栃木県で88.2%でした。
今年の発生回数は93,590回と昨年より約1.2倍発生回数が増えていることに加えて、昨年より外出の頻度が増えた割合が3割以上だったこともあり、遭遇率が増えたと考えられます。

ゲリラ雷雨の被害、第1位は交通機関に影響 群馬県では半数近くにヒョウ被害

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「ゲリラ雷雨で起きた被害は?」と質問したところ、半数以上(51.1%)の方が何かしらの被害にあったと回答し、昨年(44.4%)よりも6.7ポイント多くなりました。
具体的な被害の内容を複数回答で伺ったところ、一番多かったのが「交通機関に影響」で27.8%、その次に「道路冠水」が24.5%という結果になりました。「ヒョウ被害」は全国で見ると3%ですが、群馬県では48%と半数近くの方が雹による被害があったと回答しました。群馬県では7月31日のゲリラ雷雨などで広範囲で雹が降り、中には5cmとゴルフボールほどの大きさの雹が降った地域もあり、被害を受けた方が多くなったと考えられます。

出費額は昨年より増加 出費額1位は群馬県

「ゲリラ雷雨に遭遇した」と回答した方に、「この夏、ゲリラ雷雨による想定外の出費は?」と質問したところ、22.3%の方が何らかの出費があったと回答しました。出費額は全国平均で2,650円となり、昨年の2,558円よりも92円増加しました。都道府県ごとに出費額の平均を見ると、群馬県が全国平均より4000円近く高い6,675円、続いて秋田県が4,675円と3位以下と大きく差が開く結果となりました。
具体的な出費の内容を複数回答で伺ったところ、「傘など雨具の購入」が15.3%と一番多く、次いで「バス・タクシーを利用」(7.0%)、「雨宿りでお店に入り出費」(6.1%)という結果になりました。出費額の平均が一番高かった群馬県の内訳を見ると、「車の修理」が16.3%と最も多く、全国平均の1.0%と比べると非常に顕著でした。また「家屋の修理」も7.8%と、全国平均の1.1%よりも多い結果でした。群馬県からは「デカイヒョウが2回もあり、車がボコボコになった」、「新車納車3ヶ月で雹害にあり全損」、「ヒョウで窓ガラスが割れた」、「ヒョウで屋根に穴が空いた」など、車や家屋への雹害に関するコメントが多く寄せられており、雹による被害で出費額が嵩んでしまった方が多かったことがわかりました。

今シーズンはゲリラ雷雨の発生回数が昨年よりも多くなり、被害を受けた方ゲ想定外の出費額が昨年よりも増えました。また、群馬県の雹害が顕著に見られました。ウェザーニューズでは、ゲリラ雷雨による被害を少しでも減らすため、本調査結果を今後の対策に活かしていきます。

 

参考情報:エリア別のゲリラ雷雨発生回数

 

参考情報:都道府県別ゲリラ雷雨発生回数 ※集計期間:7月1日〜9月30日

都道府県
2023年
2022年(回)
過去5年平均(回)
発生回数(回)
10km四方ごとの発生回数(回)
2022年(倍)
過去5年平均(倍)
北海道
10665
11
2.0
2.5
5446
4210
青森県
1820
18
2.4
2.6
743
700
秋田県
2358
25
1.5
2.1
1561
1150
岩手県
3100
26
1.6
2.4
1940
1310
山形県
2182
29
1.7
2.1
1310
1040
宮城県
1575
10
1.6
1.9
1004
820
福島県
3575
25
1.3
1.6
2674
2270
茨城県
1044
17
1.2
1.3
901
820
栃木県
2070
33
1.7
1.6
1183
1310
群馬県
1788
29
1.4
1.5
1300
1180
千葉県
1029
58
1.1
1.4
953
730
東京都
1104
29
1.1
1.3
1027
870
埼玉県
754
15
1.4
1.4
527
550
神奈川県
528
21
1.3
1.4
394
370
山梨県
852
8
1.2
1.4
710
620
長野県
2988
53
1.1
1.7
2643
1810
静岡県
1949
46
1.2
1.4
1623
1380
愛知県
1478
34
1.0
1.2
1488
1190
岐阜県
2836
22
1.0
1.3
2771
2190
三重県
1605
39
0.9
1.2
1784
1300
新潟県
2645
61
1.0
1.3
2699
1970
富山県
1020
8
1.0
1.3
985
780
石川県
951
12
1.0
1.3
987
720
福井県
1062
21
1.0
1.6
1034
680
滋賀県
917
24
1.0
1.3
953
730
京都府
1132
25
0.8
1.2
1453
950
奈良県
1343
71
1.0
1.6
1312
840
兵庫県
1835
22
0.9
1.3
2098
1440
大阪府
488
13
0.9
1.3
569
370
和歌山県
1288
28
1.0
1.5
1311
850
鳥取県
1146
17
1.0
1.9
1097
600
島根県
2077
61
1.2
1.9
1680
1070
岡山県
1391
19
0.8
1.1
1840
1210
広島県
2064
24
1.1
1.4
1924
1500
山口県
1750
28
1.2
1.7
1447
1040
香川県
511
12
1.0
1.5
495
340
徳島県
952
47
1.0
1.6
915
610
愛媛県
2025
34
1.7
2.2
1210
910
高知県
2348
34
1.4
2.2
1622
1090
福岡県
2162
44
1.4
2.3
1522
960
大分県
1816
24
1.3
2.2
1449
840
佐賀県
868
13
1.4
2.2
615
390
長崎県
2004
84
1.3
1.8
1547
1110
熊本県
2640
85
1.4
2.2
1887
1200
宮崎県
2884
39
1.4
2.1
2104
1400
鹿児島県
3817
56
1.2
1.7
3160
2280
沖縄県
5154
191
0.9
1.3
5783
4010
全国(合計)
93590
-
1.2
1.7
75680
55710

 

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