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株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、3〜8月の長期見解と、天気傾向から商品の売れ行きを予想した「春夏の小売需要傾向2024」を本日発表しました。
8月までの気温は、全国の広い範囲で平年より高い予想です。春(3〜5月)は偏西風が平年より北を流れる影響で暖かい空気に覆われます。夏(6〜8月)は地球温暖化の影響で北半球の気温が高い状態が継続することや、ラニーニャ現象の発生により太平洋高気圧の北への張り出しが強まる影響で、全国的に暑い夏になりそうです。チベット高気圧は平年よりも弱い傾向ですが、張り出しが強まるタイミングでは猛暑に注意が必要です。
今春は早い時期から気温が高く、夏にかけて気温が高い状況が続くことから、冷やし中華やかき氷などの冷たい食品のほか、夏服、制汗剤、防虫剤、扇風機などの夏物商品の需要が例年よりも早めに高まり、夏になっても需要の高い状態が継続しそうです。また、降水量は全国的に平年並〜多い傾向で、突発的な雷雨も発生しやすいため、雨具の需要増も期待できそうです。
食品や飲料、衣料品など様々な商品が天気の影響を受けることから、当社は企業向けに商品ごとの気象相関分析や天気連動型の広告サービスを提供しています。生産や販売における気象データ活用やDX推進にご関心のある方はお問い合わせください。
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春夏の気象見解
春(3〜5月)はエルニーニョ現象や地球温暖化の影響で、地球全体で大気の温度が高くなる見込みです。加えて、偏西風が日本付近で平年より北よりを流れる傾向のため、南からの暖気が入りやすくなります。このため、春の気温は全国的に平年よりやや高い〜高い予想で、暖かい春になりそうです。
夏(6〜8月)も地球温暖化の影響で、北半球全体の気温が高い状況が継続し、気温が高くなりやすい状態が続きます。また、インド洋の海面水温が高い状態が続きます(①)。この影響で、夏の前半までは南シナ海~フィリピン近海で高気圧が発生しやすく、対流活動が不活発な状態が続いて(②)、太平洋高気圧の西(沖縄方面)への張り出しが強まる傾向です(③)。さらに、夏の後半にはラニーニャ現象が発生する可能性があり(④)、南シナ海を中心に次第に対流活動が活発化することで(⑤)、太平洋高気圧の北への張り出しが強まる見込みです(⑥)。これらの影響で全国の気温は平年よりやや高い〜高く、また、梅雨明け以降は晴れて暑い日が多くなる予想です。なお、チベット高気圧の張り出しは平年よりも弱い傾向なので、太平洋高気圧と重なってダブル高気圧となる頻度は低い予想ですが、張り出しが強まるタイミングでは猛暑に注意が必要です。
3〜8月の降水量は、北〜西日本で平年並〜多い、九州南部と沖縄・奄美は平年より多い予想です。3月は冬型の気圧配置になることはあるものの長くは続かず、東日本や西日本を中心に前線や低気圧の影響を受けやすい時期がありそうです。4月と5月の天気は数日周期で変化しますが、4月は東〜西日本では曇りや雨の日が多く、5月は北〜西日本で晴れる日が多くなりそうです。ただし、4月は発達した低気圧の影響を受けて春の嵐になる可能性もあり、4〜5月は上空の寒気による突発的な雷雨に注意が必要です。
夏は期間を通してチベット高気圧の北への張り出しが弱く、偏西風は平年より南を流れる見込みです。さらに、太平洋高気圧の張り出しが西よりに強まることで、暖かく湿った空気が流れ込みやすくなります。このため、梅雨の総雨量は全国的に平年並〜多くなりそうです。梅雨入りは沖縄で平年並、その他の地域は平年より遅い傾向です。梅雨末期の大雨や8月の北日本(日本海側)中心の大雨に備えてください。また、梅雨明け後は東〜西日本は突発的な雷雨、沖縄は台風による暴風雨にご注意ください。
※最後にエリアごと(北日本・東日本・西日本・沖縄奄美)の気象見解を記載しています。
春夏の小売需要傾向2024
当社流通気象チームの気象データアナリストは、過去の5〜8月のGoogle検索数の傾向と気象データの関係を分析し、今夏の気温傾向をもとに季節商品が注目される時期を予想しました。今春は早い時期から気温が高いと予想されることから、コールド商品や日焼け対策グッズなどの春夏商品は、春のはじめから需要が高まりそうです。また、夏にかけて気温が高い状況が続くことから、クール素材の夏服や接触冷感を使った商品から、かき氷や冷やし麺など冷たい食べ物、スポーツドリンクや経口補水液などの熱中症対策商品や、制汗剤や防虫用品、扇風機などの家電用品まで、様々な分野の夏物の季節商品の需要が例年よりも早くから高まりそうです。加えて、梅雨の雨量は平年並〜多い傾向で、梅雨明け後の突発的な雷雨も多い可能性があるため、雨具の需要増も期待できそうです。
今年の春~夏にかけての東日本の気温傾向は2022年と似ています。2022年の夏物商品のGoogle検索数の傾向を見てみると、「クールインナー」は、最も気温が高くなった6月下旬~7月頭に検索数が一番の山となっていますが、その前の5月上旬や5月下旬~6月頭でも検索数が大きく伸びているのが分かります。「制汗剤」の検索数も似たような傾向で、7日間の平均最高気温が最も高くなる時期までは気温の上昇に伴い、検索数が上昇しています。今年も春から平年より高い気温となる予想のため、2022年のように5月や6月早々に夏服の需要が伸びる可能性があります。
また、「虫刺され」や「コバエ」などの検索数も気温に応じて多くなります。2022年は、6月下旬から8月下旬まで検索数は多い状態が続きましたが、クールインナーや制汗剤と同じく5月上旬や5月下旬~6月頭でも気温が上がり注目度も上がっています。今年も本格的な夏となる前から、虫よけ、防虫への関心度、需要が高まりそうです。
一方で、「かき氷」は、本格的な夏の暑さになると検索数がぐっと増えています。その後も、8月の終わりにかけて注目度は高い状態が続いています。他の商品と少し傾向は異なり、春や初夏の暖かさではあまり検索数は増えませんが、梅雨明けなど真夏の到来とともに需要が高まり、残暑によって需要の高止まりが続く傾向がありそうです。今年も8月の終わりにかけて気温の高い状態が続く見込みで、かき氷の人気も長く続きそうです。
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エリアごとの気象見解
エリア | 3~8月の気温 | 3~8月の気象見解 |
北日本(北海道・東北) | 平年よりやや高い〜高い | <3月>天気は周期変化で、日本海側の地域では曇りや雨雪が降る日が多くなりそうです。ただ、晴れる日の日向では日差しの温もりが感じられそうです。積雪エリアは融雪による影響に注意が必要です。気温はやや高い〜高い予想です。 |
東日本(関東甲信・北陸・東海) | 平年よりやや高い〜高い | <3月>天気は一時的に曇りや雨の日が多くなるものの、全般には春らしく周期変化する見込みです。気温は平年より高い予想で、桜の開花も平年より早まる予想です。 |
西日本(近畿・中国・四国・九州) | 平年より高い | <3月>天気は春らしく周期変化になります。気温は平年より高い予想ですが、まだまだ冷える日もあります。山陰や九州北部では雪が降ることもありそうです。 |
沖縄奄美 | 平年よりやや高い〜高い | <3月>上旬は曇りや雨で天気はスッキリしません。中旬からは周期変化となり、晴れる日が多めになります。気温は平年よりやや高い傾向が続き、暑くなる日が出てきそうです。 |