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ウェザーニューズ、「秋冬の小売需要傾向2023」を発表
今冬は暖冬傾向、エルニーニョ現象の影響で9〜2月の気温は平年より高い予想
〜秋の深まりはゆっくりで、秋・冬物商品の需要増シーズンは例年より遅い予想〜
流通気象 >株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は、今シーズンの秋冬の天気傾向から商品需要を予想した「秋冬の小売需要傾向2023」を本日発表しました。秋冬の気温は、9月から2月にかけて全国的に平年より高い予想です。今シーズンはエルニーニョ現象の影響で、例年より季節の歩みがゆっくりになりそうです。今夏は記録的な暑さになりましたが、9月いっぱいは暑い日が続く見込みです。10月に入ると段々と肌寒い日が増えて秋の訪れを感じられ、11月は一雨ごとに秋が深まっていきます。12月以降もエルニーニョ現象が続くため、暖冬傾向になりそうです。寒さのピークは1月下旬~2月上旬で、初雪は平年より遅いところが多い予想です。
このため、今シーズンの秋・冬物商品の需要は、例年よりも動き出しが遅い見込みです。冬物の衣類や電化製品は11月以降に需要が高まり、日用品や食品は11月から伸び始めて12月にピークを迎える予想です。
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気温傾向:秋冬にかけて全国的に平年より高い予想
今年は規模の大きいエルニーニョ現象が発生しており、冬にかけて継続する見込みです。このエルニーニョ現象や地球温暖化の影響で、地球全体で大気の温度が高くなる見込みです。
今年の秋は、フィリピン東の対流活動が活発なため、9月前半を中心に太平洋高気圧が日本付近へ張り出しを強める予想となっています。この対流活発域は次第に南東へシフトするため、太平洋高気圧も東海上へ退きますが、平年よりもゆっくりになりそうです。このため、今秋の気温は全国的に平年より高くなる見込みです。この時期は対流活動が活発なため台風の発生、日本付近への接近に注意が必要です。
冬になると、ベンガル湾からフィリピン近海の対流活動が平年より不活発になるため(①)、中国内陸の偏西風が平年よりも南を通りやすくなります(②)。この下流にあたる日本付近では、偏西風が平年より北を通るため、南からの暖気が入りやすく(③)、寒気が南下しにくくなります(④)。このため、日本付近の冬型は平年より弱く、長続きしない傾向で、今冬の気温も全国的に平年より高くなる予想です。
したがって、秋から冬にかけて平年より気温が高いまま、季節はゆっくりと進みます。9月いっぱいは広い範囲で暑い日が続きますが、9月後半からは段々と過ごしやすくなり、朝晩は薄手の上着があると良さそうです。10月は朝晩と昼間の体感差が大きく、肌寒くなることで秋の訪れを感じられそうです。11月は一雨ごとに季節が進んで秋が深まり、ストーブやコートが活躍する日が増えてきます。寒さのピークは1月下旬~2月上旬の見込みで、初雪は平年より遅いところが多くなりそうです。
降水と降雪の傾向:冬の日本海側の降雪量は平年より少なく、太平洋側の降水量は平年より多い予想
9月後半の日本付近は、秋雨前線や低気圧の影響を受けやすくなる予想で、前線活動が活発になる可能性もあり、強雨や大雨に注意が必要です。10月から11月にかけての降水量は、全国的に概ね平年並となりそうです。
12月から2月にかけては、平年より冬型の気圧配置が弱く、長続きしないため、日本海側の降雪量は平年よりも少なくなる予想です。また、日本付近に暖気が入りやすくなるため、低気圧が発生、発達しやすくなります。南岸低気圧の発生数も増える傾向があるため、太平洋側の地域では降水量が多くなりそうです。寒気の南下するタイミング次第では、関東で大雪の可能性もあるので、注意が必要です。
※本プレスリリースの最後に、エリアごと(北日本、東日本、西日本、沖縄奄美)の気象見解を記載しています。
秋冬の小売需要傾向
当社は、今シーズンと類似していると予想する2019〜2020年の東京の気温傾向、体感報告、検索トレンドを分析し、2023〜2024年の秋冬の小売需要傾向を予想しました。
<2019年秋の体感振り返り>
今シーズンと類似する2019年秋(9〜11月)の体感報告を振り返ると、全般的に平年より気温が高かった影響で、10月上旬までは「暑い(紫色:ムシッと暑い、桃色:カラッと暑い)」の報告が続いていましたが、10月中旬に寒気が流入し、「暑い」から「肌寒い(水色)」に体感が変化しました。このタイミングで肌寒くなり秋の訪れを感じる人が多くなったと思われます。
10月下旬からは本州付近に暖かい空気が入りやすく、11月も平年よりは気温が高かったものの、段々と気温が下がったことで「寒い(青色)」の体感に変わっていきました。その後、11月末に寒気が流入したことで急激に気温が下がり、ほとんどの人が「寒い」と感じるようになりました。この結果から、2019年は11月に入ってから多くの人が秋の深まりを感じていたと分析します。
<2019〜2020年冬の体感振り返り>
2019年〜2020年の冬(12〜2月)は、冬型の気圧配置が続かず、全国的に寒気の流入が弱かったことで、全般的に平年より気温は高くなりました。体感は例年通り「寒い」が多くを占めましたが、気温が高かった影響で「極寒(黒)」の割合は少なくなりました
<2019〜2020年秋冬の検索トレンド>
この年の秋冬商品のGoogle検索数を振り返ると、「防寒インナー」は11月に入ってから検索数が大幅に増えています。「電気毛布」は、同じく11月から検索数の伸びが顕著となり、「寒い」体感が増えた11月下旬ごろに検索ピークを迎えています。また、「ハンドクリーム」や「カイロ」といった日用品や、「鍋」の検索トレンドを見ると、どちらも電化製品ほどの顕著なピークは見られませんでしたが、11月から検索数が伸び始め、12月がピークとなりました。
・防寒インナー:2019〜2020年
・電気毛布:2019〜2020年
<今シーズンの予想>
今年の秋(9〜11月)は、期間を通して平年より気温が高く、寒さを感じるのは秋後半になってからとなりそうです。このため冬物衣料や電化製品など、季節の買い替えや買い足しが見込まれる商品は、例年よりも動き出しが遅く、11月以降に需要が高まる見込みです。また、秋冬の日用品や食品は、11月から伸び始めて12月にピークを迎える予想です。また、平年と比べて厳しい寒さとならないことで、需要ピークが例年よりも早く終わる可能性があります。
当社は、企業向けに商品と気象データの相関を分析する『気象相関分析』を提供しています。また、相関分析によって得られたデータを用いて、最適なタイミングにお天気アプリ「ウェザーニュース」上で動画広告を配信できる「天気連動型動画広告」も用意しています。ウェザーニュースキャスターによる宣伝動画を複数パターン作成し、気象状況に合わせて、最適なタイミングでユーザーに配信します。商品ごとの詳しいデータ分析や広告サービスにご興味のある企業の方は、以下よりお問い合わせください。
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エリアごとの気象見解
エリア | 9~2月の気温 | 9~2月の気象見解 |
北日本(北海道・東北) | ⚫︎平年より高い9〜11月:高い12〜2月:高い(北海道では1月は平年よりやや高い) | <9月>北海道は中旬にかけて天気は周期変化。下旬はぐずつきやすい時期と晴れやすい時期がある予想です。東北地方も前半は天気が周期変化。後半はぐずつきやすい時期と晴れやすい時期がありそうです。また、南部は台風の影響を受けるおそれがあります。台風の情報はこまめに確認し、事前にしっかりと対策を行ってください。季節が進むにつれて、過ごしやすい日が多くなるものの、気温は引き続き平年より高い予想です。上旬は残暑が厳しい時期もあるので、熱中症対策は忘れずに。 |
東日本(関東甲信・北陸・東海) | ⚫︎平年より高い9〜11月:高い12〜2月:高い | <9月>前半は晴れる日が多くなりますが、にわか雨や雷雨の可能性があります。後半は曇りや雨の日が多くなりそうです。また、台風の影響で荒れた天気となる可能性があるため、台風情報はこまめに確認し、事前にしっかりと対策をしてください。気温は平年より高くなり、厳しい残暑となる見込みです。ただ、段々と過ごしやすい日が増えていき、後半になると朝晩は薄手の上着が必須になりそうです。<10月>上旬は晴れる日が多くなりますが、ぐずつきやすい時期もある予想です。関東や東海地方では中旬以降、天気は周期的に変化します。北陸でも中旬以降は天気が周期的に変化しますが、晴れる日が多い見込みです。気温は各地で平年より高い予想です。朝晩と昼間の体感差が大きくなっていき、肌寒くなることで秋の訪れを感じられます。ストールなどの小物アイテムを活用しつつ、服装で体感温度の調整を行ってください。<11月>天気は周期変化しますが、晴れる日が多い予想です。一雨ごとに季節が進んで、秋の深まりを感じられそうです。気温は平年よりも高く、昨年並の予想です。朝晩と昼間の気温差が大きくなるため、体調管理にはお気をつけください。ストーブやコートが活躍する日が増えていきます。紅葉前線が南下して、市街地でも紅葉狩りが楽しめるようになります。<12〜2月>今冬は冬型の気圧配置は平年より弱く、長続きしない傾向です。日本海側の降雪量は平年より少ない見込みのため、スキー場は雪不足が心配です。一方、太平洋側は南岸低気圧の影響を受けやすい見込みで、寒気の入るタイミング次第では、関東で大雪になる可能性もあります。雪への備えを万全にする必要がありそうです。気温は期間中、平年より高い予想です。初雪は平年より遅い傾向で、初雪の観測されない所もありそうです。寒さのピークは1月下旬~2月上旬の予想で、暖冬とはいえ、防寒対策は必要です。 |
西日本(近畿・中国・四国・九州) | ⚫︎平年より高い9〜11月:高い12〜2月:高い | <9月>前半は晴れる日が多いですが、にわか雨の可能性があります。また、台風シーズンが続くので、最新情報をこまめに確認し、事前にしっかりと対策を行ってください。気温は各地で平年より高くなり、厳しい残暑となる見込み。熱中症対策が必須です。ただ、段々と過ごしやすい日が増えていき、後半になると朝晩は薄手の上着が必須になりそうです。<10月>上旬は晴れる日が多くなりますが、ぐずつきやすい時期がありそうです。中旬以降は天気が周期的に変化しますが、晴れる日が多くなる予想です。気温は各地で平年より高い予想です。ただ、朝晩と昼間の体感差が大きくなっていき、肌寒くなることで季節の歩みを感じられます。ストールなどの小物アイテムを活用しつつ、服装で上手に体感温度の調整を行ってください。<11月>天気は周期変化しますが、晴れる日が多い予想です。一雨ごとに季節が進んで、秋の深まりを感じられそうです。気温は平年よりも高く、昨年並の予想です。朝晩は冷え込んでストーブやコートが活躍する日が増えていきます。体調管理にはお気をつけください。紅葉前線が南下して、市街地でも紅葉狩りが楽しめるようになります。また、11月下旬から12月頭には、木枯らし1号が吹く可能性があります。<12〜2月>今冬は冬型の気圧配置は平年より弱く、長続きしない傾向です。日本海側の降雪量は平年より少ない見込みのため、スキー場は雪不足が心配です。一方、太平洋側は南岸低気圧の影響を受けやすく、平年より降水量が多くなりそうです。気温は平年より高い予想です。初雪は平年より遅い傾向で、初雪の観測されない所もありそうです。寒さのピークは1月下旬~2月上旬の予想で、暖冬とはいえ、防寒対策は必要です。 |
沖縄奄美 | ⚫︎平年より高い9〜11月:高い12〜2月:高い | <9月>中旬は晴れ間の出る日が多くなる予想です。台風シーズンが続くので、随時最新情報をご確認ください。穏やかな天気の日に、非常食の買い出しなど対策を進めておくと、いざという時に役立ちそうです。気温は平年より高い傾向で、蒸し暑さが続きます。引き続き水分をこまめに摂取し熱中症対策をしてください。<10月>前半は晴れやすい時期とぐずつきやすい時期があり、後半は曇りや雨の日が多くなりそうです。気温は平年より高い予想ですが、段々と暑さは落ち着いていき、季節の歩みを感じられそうです。朝晩は少しずつ涼しくなってきます。<11月>天気がぐずつく時期と晴れが多くなる時期が混在します。北風の吹く日が増えて気温が下がり、段々と冬の訪れを感じられそうです。気温は平年よりも高い傾向ですが、朝晩を中心に肌寒い日が多くなります。長袖シャツや薄手の上着の出番となりそうです。<12〜2月>平年よりも寒気の影響を受けにくく、天気は周期変化しやすい見込みですが、時々雨や曇りが続いて天気がぐずつきやすい時期もありそうです。気温は平年より高く、年末年始も比較的、暖かく迎えられそうです。寒さのピークは1月下旬~2月上旬の予想です。 |
※本予報は9月6日時点のものです。